2008年06月17日

華麗なるルチャ 震撼のムチャ

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プロレスのリング上は常に天下取りの舞台である。
生きる道としてプロレスラーを選んだからには、一度は王者のみが味わえる優越感に浸りたいと思うであろう。
しかしそれは待っていて訪れるものではない。

タッグフェスティバル2008。

大阪プロレスで1年に1度、もっとも強い二人を選ぶ闘い。
若手ベテランを問わず志ある者にチャンスを与え、頂点を競う初夏の祭典。

そして、それを制するものは天下取りに通ず。
大阪タッグ選手権への挑戦権。
タッグフェス優勝はすなわち、ゼロとGAINAにより高められ未だ沖縄の地にある王座を取り戻すというテーマも併せ持つ。
わずか3日間の爆発力がチャンピオンへの道を急速に切り開く。

アジアン・クーガーとツバサのタッグ、ムチャルチャは虎視眈々とベルトを狙ってきた。
イスやラダーを使った危険な空中戦ムチャリブレを駆使するクーガーと、メキシコ仕込みの熟練されたルチャリブレを華麗に操るツバサ。
だが現在のムチャルチャは、人気実力ともに大阪プロレスで一二を争うタッグチームにも関わらず未だ無冠の憂き目にあっている。
ムチャルチャはツバサが連続参戦できない事情もあり、大阪ハリケーン2008でのタイトル挑戦以降は栄誉を味わう機会を逃していたのだ。

その間にも姉妹団体である沖縄プロレス旗揚げに伴う選手の離脱、それに起因するルードユニットバッドフォースの解散。マスク剥ぎマッチを経てのタイガースマスクとブラックバファローのタッグ結成や、若手が結集したユニットB&Gの誕生などと大阪プロレスの勢力図は激しく動き続けた。
アジアン・クーガーは本流からやや離れたポジションでやがて来るだろう好機を窺っていたように見えた。海外を含めた数々の団体で経験と積み、新たなる闘いの場として大阪プロレスへの正規入団を果たしている彼にとって、今の現状は忸怩(じくじ)たる思いがあったのではないか。
現大阪タッグ王者のゼロとGAINAが大阪を離れる時、その挑戦者として名乗り出ることもできなかった彼ら。
至宝を取り戻すは我がムチャルチャ。今一度その実力を万人に見せ付けたい。タッグ最強の栄冠をツバサと分かち合いたい。
第一回戦、6月15日のメインイベント。そんな彼らの前にまず立ち塞がったのは、同じ正規軍の所属であるタイガースとバファローのコンビ。組んでからの日は浅いものの、バファロー復帰へのドラマが生んだ二人の固い絆は、それを埋めて余りあるものといえた。

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そして時はやってきた。
ムチャルチャの入場には華がある。黒で統一されたコスチューム。コーナーに備えるはイスとラダー。自身のプロレス、そしてプライドの象徴。
そしてその成り立ちのまま彼らは仕掛けた。入場をいきなりダブルのトペで襲う。虚を突かれるタイガースとバファロー。
突然の場外戦で試合は幕を開けた。
乱戦の中、あっという間にバファローの上に築きあげられるパイプイスの山。タイガースによって阻止されるもペースは未だムチャルチャが握っている。
クーガーがバファローに、ツバサがタイガースに同時のエプロンからのリングインギロチン。ツバサが場外で再びバファローを椅子の山に埋めると、そこにクーガーがトペ・アトミコwithチェアを敢行!

場外で動けなくなってしまったバファローを尻目に、ムチャルチャは連携でタイガースを攻める。
サンドイッチのドロップキックにダブルのカウンターエルボー。コーナーに追い詰めるとロープ間に据え付けたイスにタイガースの頭を叩きつける。
「ツバサ!」「クーガー!」呼びかけるだけで次々と決まる連携。タイガースはされるがまま。
ツバサがジャベでタイガースの足と腕を同時に極めていけば、クーガーはコーナーに逆さ吊りにしてイスを挟んだドロップキックとムチャ殺法で追撃する。

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やっと戦線復帰したバファローはクーガーのイスを逆に奪うとツバサにお返しのイス攻撃。そのイスをクーガーに投げ渡すとロープ越しにイスごとタックルで場外に叩き出す。
タイガースとバファローはここからツバサに集中攻撃。場外に落ちた時の打ち所が悪かったのかクーガーは、背中の辺りを気にしながら這いあがるようにしてコーナーに寄りかかる。
孤立してしまったツバサはバファローにスライサーからエプロンへのドロップキックの連続技、そこから強烈なニー、そしてバックドロップと畳み掛けられる。
コーナーに追い詰められると二人がかりのエルボースタンプ。
「ツバサ!」とクーガーの檄が飛ぶ。その声に応えたかツバサは意表を突く飛びつきフランケンシュタイナーをタイガースに決めて脱出成功。

クーガーは背後からのドロップキックでバファローをコーナーへ追い詰める。モンキーフリップは落とされて逆にミサイルキックを浴びるもUターンブルドッキングですぐさま反撃。
そしてエプロンにバファローを寝かせるとギロチンを落とし場外になだれ込む。
代わったツバサをタイガースはミドルキックで倒しサッカーボールキック。そのまま座り込むツバサにに滑り込んでのクローズライン。ツバサはエルボー合戦からタイガースのハイキックをかわすと背後を取る。しかし逆に背後を取ったタイガースは一閃ジャーマンスープレックス!しかし返した次の瞬間ツバサがタイガースに首と腕を極めるジャベ。
カットに入ろうとするバファローをクーガーが場外で分断。うめき声を上げるタイガース。それでもなんとかロープエスケープで逃れるタイガース。

ここから両チーム入り乱れてのラッシュ。ツバサがバファローにドロップキックを放つと、そこにイスを乗てからクーガのリングインギロチンwithチェア!
場外のツバサにタイガースがトペ・コンヒーロを放てば、場内ではクーガーがバファローにコーナートップからのフランケンシュタイナー!
ツバサがバファローにトラースキック!タイガースがツバサにハイキック!クーガーがタイガースにドロップキック!バファローがクーガーにバックドロップ!
ダメージに全員がリング上に大の字。ダウンカウントが数えられる中、フラフラになりながらも立ち上がる4人。

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息を吹き返したかのようになおもハイスパートが続く。
タイガースがクーガーに低空ドロップキック。そこをバファローが羽交い絞めにしてタイガースがミサイルキック。しかしこれは誤爆でバファローに命中!
そのタイガースの背後を取ったクーガーは一声「ツバサ!」と叫ぶ。呼応するように滑り込んできたイスを片足で踏み止めるとそのまま顔面スタンプチェア!
うつ伏せにダウンしたままのタイガースをクーガーロック3号に胴締めで絡めてガッチリ極めるクーガー!カットに入ろうとするバファローをツバサがドラゴンスリーパー捕獲!
タイガースは激痛に絶叫しながらもなんとかエスケープ。

ここでツバサはドロップキックからプランチャでバファローを場外に排除。
クーガーはペディグリーで再びタイガースをダウンさせるとラダーをコーナーに設置。ツバサはタイガースの上にイスを敷いてフィニッシュの準備をする。見栄を切るクーガーだが、そのラダーにバファローがタックルで激突!観客の悲鳴と共にそのまま放り投げられるように場外に落ちるクーガー!
場内はバファローとツバサの一騎打ち。壮絶なラリアット合戦は意地のツバサが勝利。そして背後からストレッチプラムで腰を落とそうとするツバサ。
しかしそれを脱出するとバファローはラリアット連打から垂直落下式バファロードライバー!
カットに入るクーガーだが場外落下のダメージで右足を引きずっている。クーガーはサンドイッチラリアットこそかわすもののバファローに浴びせ倒すようなラリアットを食らう。
そのままバファローはツバサを場外に分断。タイガースに後を託す。

タイガースはクーガーの背後を取るとジャーマンスープレックス!返されると座り込むところにバズソーキック!それでもカウント3を許さないクーガーにタイガーススープレックス!
しかしこれはクラッチが弱く崩れてしまう。クーガーは足の自由が効かずそこから反撃できない!
それならばと変形タイガーススープレックスの態勢に入るタイガース!
しかし次の瞬間、払い腰のように投げられたタイガースにクーガーのキドクラッチ!一瞬の早業にタイガースこれを返せず大逆転の3カウント勝利!

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場内は興奮の大歓声!歓喜の中飛び込んでくるツバサ!
レフェリーとタコヤキーダーがクーガーの足の具合を確かめる中、二人はガッチリと手を取り合う。
バファローは信じられないといった様子を見せるがやがて4人が互いに健闘を称えあった。

テーマ曲が終了すると勝利を称える「クーガー!」のコールが乱れ飛ぶ。

クーガーが片足をかばいながらも立ち上がりマイクを持つと「勝ったぞー!大阪プロレスで一番輝いているタッグチームはドコや!?」と叫ぶ

「ムチャルチャ!」場内から声が飛ぶ。

「このまま2回戦!決勝も!頑張るぞー!。大阪プロレス史上!最も危険で!最も華麗な!ムチャ!ルチャ!に注目!」
クーガーとツバサは再び抱き合い、勝利を確かめあった後、リングを後にする。

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そして翌日、クーガー骨折の報。
全治3ヶ月、タッグフェスティバル続行不可能。
ムチャルチャが勝利の為に払った犠牲はあまりにも大きかった。
あの勝利を目の当たりにした者はきっと、彼らが決勝のリングに立つ姿を確信したことだろう。
しかし夢は半ばで消え、ムチャルチャの反攻は何ヶ月も先になるだろう復帰を待つしかなくなってしまった。

プロレスは体を酷使する職業である。ただでさえケガと付き合っていくその生活の中で、イスやラダーを頻繁に使うクーガーの技の数々がどれだけ危険なのかは、彼の体に絶えない生傷を見れば分かるというものだ。
しかしクーガーが、自ら築きあげたスタイルに己の人生を賭して向き合う姿を誰が責めることができようか。
彼はアジアン・クーガーの名の誇りのままに足が骨折してからも試合をやり遂げたのだ。もちろん褒めるつもりは無い。ケガをしない事はプロレスラーにとって一番大事なことだから。

でも、みんなずっとずっとアジアン・クーガーの危険な魅力に満ちたプロレスを見ていたい。
だからこそしっかりと治して戻ってきて欲しい。
ファンが、選手が、何よりツバサが待っている。

危険をかえりみない男は危険を最も知るはず。今回のような惨事は二度と繰り返して欲しくない。
より強い魅力を備えたムチャルチャの復活は、よりプロレスラーの強靭さを証明するものであってほしい。
大阪プロレスの未来を明るく照らしていく為に。
posted by ラポン at 23:53| Comment(5) | TrackBack(0) | 大阪プロレス観戦記2008 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
激しい一戦だったのがよくわかる記事ですね。
クーガーさんは大阪プロレスになくてはならないレスラーです!
一日も早く勇姿を見れるように回復を祈ります。
Posted by さぬきうどん at 2008年06月18日 12:26
う〜ん!大阪プロレスのイメージが変わりました!こりゃ凄いわ!皆が観たかったのわかるぅ〜。3ヶ月とは長いですね…その頃は秋よ、きっと。でも、このパイプイス素敵!ラポンさん、お忙しい中お返事ありがとうございます。お仕事の方も頑張っておくれやす。ラポンさん、ホント撮影上手ですね!カメラ小僧だったのかしら?それともカメラが良いの?(笑)
Posted by 猫 at 2008年06月18日 15:08
>さぬきうどんさん

あそこまで激しくて面白い試合を観てて、よく写真撮れてたなぁと思うくらいです。
最後の方は「クーガー!」か「ツバサ!」を叫びっ放しでしたし。

ムチャルチャは戦国とはまた違うカッコよさですよ。早く戻ってきて欲しい。
もっといっぱい彼らを見たいです。
週プロの扱いも珍しく大きかったですしね。
Posted by ラポン at 2008年06月18日 23:54
>猫さん

激しい試合から面白い試合まで充分楽しめる。それが大阪プロレスの魅力です♪

ムチャルチャの魅力は危険を恐れないカッコよさ。イスも彼らオリジナルのデザインで素敵ですね。
復帰が待ち遠しいです。

仕事は...サボらないように気をつけます(笑)

デジタルカメラはプロレス観戦始めてブログ作ってからだから...今年に入って買いました。
まだどうやったらキレイに撮れるか理解してないです。今回はチョコっと納得できるショットがありますが、ラッキーですよラッキー(照)
Posted by ラポン at 2008年06月19日 00:08
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
Posted by 履歴書 at 2013年08月25日 06:05
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