
沖縄プロレス旗揚げに伴う大量移籍に端を発し人気絶頂の中での解散となったバッドフォース。もちろん円満な流れではあるもののトップ2であったゼロとGAINAも惜しまれながら南の地へと旅立っていった。
しかし彼らには現大阪プロレスタッグチャンピオンという繋がりが残り続ける。本来ならば沖縄に流出したともいえるベルトなのだから大阪への奪還を願うのが常なのだろうが、ファンはそれを彼らとの最後の結び付きとして好意的に受け入れた。
ゼロ&GAINA。今となってはタイトルマッチでしかお目にかかる事が出来ないスペシャルなタッグチーム。その存在感は稀有。
それに立ち向かうはタッグフェス2008優勝という挑戦権を勝ち取ったゼウス&原田。過去に一度は挑戦者決定戦に敗れた彼らがたどり着いた絶好のチャンス。その成長スピードは驚異。
沖縄において別の名前で身を置く今のチャンピオンにとって、王座転落はゼロそしてGAINAという存在自体の終焉につながり兼ねない。
しかしそれが若手の成長の証となるというジレンマ。
選手そしてファンの様々な思惑をはらみながら凱旋の時は迫る。
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大阪プロレス 9月6日(土)デルフィンアリーナ大会
「SATURDAY NIGHT STORY」
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第4試合6人タッグマッチ30分1本勝負
松山勘十郎&ミラクルマン&タコヤキーダー vs くいしんぼう仮面&えべっさん&KUSHIDA

ユニーク6人タッグの中に放り込まれたハッスルKUSHIDA。敵も味方もクセ者揃い。
さながら籠の中の小鳥状態。爆笑の嵐の前の静けさ。


ゴングと共にまずは勘十郎とえべっさん。「ブレーク!」と大声でアピールし合って満足げな二人。
さっさとタッチしようとするが吉野レフェリーが「ブレイクしかしてないやろ!」と注意。
「プロレスやったらいいんでしょ!」と勘十郎はルチャムーブを披露。喝采を受ける勘十郎がシャクに触ったのか、えべっさんはどつき合いから「ユッフォ!」とピンクレディーネタに持ち込む。


代わったKUSHIDAと王子はコーナーに登って客の声援を奪い合う。女性ファンの声援で勝利したKUSHIDAは自慢げにハッスルポーズ。

スピード感溢れる動きでもアームドラッグ、ドロップキックと王子を翻弄したKUSHIDA。場外に逃れた王子に向かって見せ付けるような再度のハッスルポーズ。


そしてリング上はミラクルとくいしんぼうの伝統芸能コンビ。チョップ合戦から「アッ!」と指差して気をそらそうとするミラクルだが、くいしんぼうは無視してチョップを浴びせ続けてグングン追い詰める。ミラクルの串刺し攻撃もかわしたくいしんぼう、クルクル回って欽ちゃんジャンプ。
タッチを受けた勘十郎は顔面からの転倒にもめげず、えべっさんの再度の「ユッフォ!」も無視。「やれやぁー!」とキレるえべっさんの手を捕まえて得意のロープ渡り。
定番ネタの応酬に観客から笑いと拍手。


いいトコを見せたい王子だがここから受難続き。KUSHIDAにはボディスラムの体勢で溜めを作られ「早く落としてぇ!」と嘆きながら投げ落とされる。続くえべっさんからは地獄突きの応酬。
挙句の果てには「道頓堀で女の子と手ぇつないで歩いとったやろー!」とえべっさんに暴露され「後ろから3列目見てみぃ!」と促されたところをロープ越しのラフ攻撃。くいしんぼうは小指を立てて肩を震わせて笑うポーズ。


ソバットでなんとか脱出した王子に代わって、勘十郎はハリセンの乱れ打ち。
「顔はヤメて!」の声に応えて勘十郎の足踏みからのランニングハリセンをかわすKUSHIDA。ハリセンを奪い取って勘十郎のストライクゾーンの大きい額に一撃。


そして始まる恒例のビンタ合戦。向かい合うKUSHIDAに勘十郎の唇が迫る。飛び交う女性ファンの悲鳴。
「きっと初めてなんだぜ」の言葉にカチンときた様子のKUSHIDA。勘十郎のビンタに対してフルスイングでお返し。


勘十郎を撃退してホッとしたのも束の間、後ろから忍び寄ったミラクルが手加減なしの殺人カンチョー。
続いてモスキート、セカンドロープからのミサイルカンチョーと何度も突き立てられ地獄の責め苦を味わうKUSHIDA。ファンからは「顔とお尻はヤメてー!」の嘆き。


調子に乗るミラクルはKUSHIDAを延髄斬りから「よっしゃドライバー!」とミラクルドライバーでのフィニッシュ狙い。
ところがKUSHIDAはコロリと場外へ。えべっさんも同じくコロリ。くいしんぼうにまで無視されてヤケになったミラクルはコーナートップから「よっしゃスーパーフライ!」とダイブの構え。しかし場外では敵味方問わず「スーパーフライ!スーパーフライ!」と囃し立ててのスーパーフライ祭り。
途方にくれるミラクル。

ミラクルを放置したまま試合は進行。吉野レフェリーまで巻き込んでヘッドロックでごっつんこからフラワーダウン。
観客に「カウント!」と急かされ、仕方なく降りてきたミラクル。涙のレフェリー役。


ここから試合はスピードアップ。KUSHIDAはハンドスプリングエルボーを王子に極めると、相手チームのカットをかわしながらの3連続その場飛びムーンサルトプレス。

えべっさんが勘十郎を場外に分断。そしてくいしんぼうがラ・ケブラーダでミラクルに追撃を加える中、王子を捕まえたKUSHIDAはお尻を押さえながらもコーナートップからトドメのムーンサルトプレスで快勝。

試合が終わっても場外でミラクルに四の字固めを決めるくいしんぼう。なぜかガッツポーズ。

勝ち名乗りの3人だが、KUSHIDAの受けたダメージは局地的に甚大の模様。

ざわつく会場の中、勘十郎はマイクを握ると、
「これだけのお客さんが松山勘十郎を見に来てくれたのに勝利できなくて残念だ!
...分かってるよ!本当はゼロGAINAを見に来た事くらいな!
次はいよいよメインイベントだ!大阪プロレスタッグ選手権試合、挑戦者はB&Gのゼウスそして原田大輔。そしてチャンピオンとしてGAINAそしてゼロが久しぶりに大阪プロレスに登場だ!
紙テープの用意は万全か!メインイベントはもう間もなくだ!その時を楽しみに待て!
大阪プロレス、これからがクライマックスだぜ!!」
と、ユニークなセミからシリアスなメインへの見事な橋渡し。
メインのタイトルマッチを一瞬忘れてしまうほどの笑いに次ぐ笑い。
爆笑で観客の心を高揚させキッチリとメインへと受け渡したユニーク軍団withKUSHIDA。ユニークとシリアスの絶妙なバランスがもたらした会場の一体感は、来たるべきクライマックスへの期待との相乗効果をもたらしメインの主役を迎え入れる。
松山勘十郎&ミラクルマン&×タコヤキーダー(15分31秒 ムーンサルトプレス)くいしんぼう仮面&えべっさん&KUSHIDA○
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第5試合 大阪プロレスタッグ選手権試合時間無制限1本勝負
<王者組>ゼロ&GAINA vs ゼウス&原田大輔<挑戦者組>


はち切れんばかりの期待感の中、まずは挑戦者組の入場。
いつもと同じコスチュームの中にいつもよりも強い心の鎧を纏い、堂々のパフォーマンスのゼウスと原田大輔。
続いてバッドフォースのテーマ曲の流れる中、入場口から津波の様に広がってゆく悲鳴に似た歓声。
そして現れたのは沖縄プロレスの怪人ハブ男。そしてバッドフォースカラーのマスクを被ったシーサー王。

そのオーバーマスクの中から現れたのはもちろん大阪タッグチャンピオンチーム。ベルトをタスキ掛けのゼロ、腰にしっかりと巻いてGAINA。
割れんばかりの歓声が響く中、4ヶ月ぶりの大阪マットに気負う様子もなくあの時のままに強者の雰囲気を漂わせる二人。

まずは選手権試合のセレモニー。
お互いを挑発し合うでもなく選手権宣言、そしてベルト返還と静かに進んでゆく。
しかし記念写真での4人はこの舞台に相応しい、最強を決める者達の勇ましくも凛々しい立ち姿。


選手コールを受けるゼウスと原田。紙テープが飛ぶ中ゼウスはコーナーにもたれ掛かったまま。
続いてチャンピオンチームのコール。大量の紙テープの中、不敵な面構えを覗かせるGAINA。


そしてゼロのコールとともに降り注ぐ赤、銀、そしてバッドフォースグリーンの紙テープ。
待ち焦がれたファンの気持ちに埋もれながら両指を差し上げてそれに応えるザ・ドッペルゲンガー。

前代未聞の紙テープ量の前にしてその撤去が手間取るリング上。刻々と迫るゴングの瞬間。


ついに試合開始。チャンピオン側の先発はゼロ。その相手に名乗り出たのは原田大輔。
勢いよく組み合う二人。体を滑らせ腕を取りにいくゼロ、それに体を返して被さる原田。


そのまま十字に固めてフォールする原田。それでもゼロはリストを離さない。原田の成長を確かめるかのように、じっくりとしたマット上での攻防。

ここでゼロは見事なヘッドスプリングからアームドラッグ。負けじとアームドラッグで返す原田。


素早くロープワーク、ゼロの突進をリープフロッグでかわした原田、返す刀でフロントスープレックス。ゼロはススッと場外へ。

そしてリング上はヘビー級二人。まずは額をこすりつけながら視殺戦のGAINAとゼウス。


堰を切ったかのように動き出す両者。お互いのパワーを誇示するかのように顔面が変形しそうなほどのエルボー合戦。どちらも退かない、譲らない。


続くは巨体が弾け合うタックル合戦。交通事故のような衝突の連続は、追いかけバックハンドエルボーで迎撃したGAINAを、ひるまずタックルで倒していったゼウスの勝ち。


そして重いGAINAを軽々とブレーンバスターで投げてみせるゼウス。
そこから原田が出てきて連携攻撃。原田の串刺しエルボー、ゼウスのコーナースプラッシュ。
ダウンしたGAINAに原田はグイグイとスリーパーホールド。体を転がしてなんとかロープブレイクするGAINA。


原田のランニングエルボーからもつれ込んで場外戦の両陣営。GAINAとゼウスは1階席奥で激しく乱闘。ゼロはイスやカゴまで持ち出して原田とセコンドの小峠をいたぶる。
たちまちペースを取り戻してしまうチャンピオンチーム。


原田の首根っこを捕まえてリング周りを散々引きずり回したゼロ。リングに上げればGAINAと勢いよくWのタックル。


動きの止まった原田をフェースロックで絞め上げるゼロ。
かと思えばGAINAは持ち上げてアバランシュホールド。もう一度ボディスラムで叩きつけておいて、その喉元近くにエルボードロップ。
硬と軟を織り交ぜた巧みなスイッチワークで原田を逃がさない。


カットに入ろうとしたゼウスを場外に投げ出したゼロ。その振り向いたところに原田はチョップ。ゼロも同じくチョップで返す。
その激しいチョップの打ち合いから不意にゼロの急所攻撃。やられた本人より大きな声を上げて痛みを表わすゼロ。余裕たっぷりのルード演出。

セントーン、サッカーボールキックそして片逆エビ固めと原田のスタミナを奪ってゆくゼロ。
されるがままの原田に「どうしたオラ!」と挑発してみせるGAINA。

カットに入れないゼウス。原田のローンバトルは続く。
まずはGAINAが原田をマンハッタンドロップで落とし、その苦悶の顔にゼロがドロップキック。

そしてダウンした原田の周囲を手拍子で煽って回るゼロとGAINA。懐かしの光景に観客も釣られて手拍子。

GAINAの背に飛び乗ったゼロ。増量された嫁のおんぶプレスが原田を襲う。観客は悲鳴を含んだ大歓声。


グロッキー状態となった原田の頭を踏みにじり屈辱を味わせるゼロ。
チャンピオンチームの猛攻の前にピンチが続く原田だったが、ゼロの串刺し攻撃を両足で迎撃してようやく難を逃れる。


そして渾身のフォアアームで脱出、ようやくゼウスの登場。
ゼウスは凄まじいチョップからラリアットでゼロを場外に駆逐すると、GAINAとはラリアットの相撃ち。


3度目の激突で打ち勝ったゼウスは筋肉を隆起させ雄叫びを上げる。まるで全力を出せる相手を前に、喜びに打ち震えているかのよう。


タックルで飛ばされコーナーに体を預けるGAINAに対してまずは串刺しラリアットのゼウス。その反動でヨロヨロと前に出たところを捕まえてベアハッグからのスープレックス。


そこからGAINAの髪を掴んで引きずり上げたゼウスは、その大きな体をアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げる。たまらずカットに入るゼロ。


そこに原田が入ってきて再びゼロと一騎打ち。原田は串刺しエルボーとタックルをゼロに浴びせてそこからハーフハッチの態勢。
嫌がるゼロはそれをハンマースローでロープへ。しかし原田は返って来たところに膝を突き上げて迎撃。思わず膝を着くゼロを引き起こしてハーフハッチスープレックスホールド。


まだまだ余力充分のゼロ。これを返すと原田の突進をカニ挟みで倒し起き上がりかけたところをシャイニング・ウィザード。かろうじて避けた原田だったがその背後からシャイニング・バックキック。
そこをコーナーから改めてのシャイニング・ウィザード。

ガッチリ固められてのフォールを必死にキックアウトする原田だったが、ゼロはその左足を捕獲してアンクルホールド。原田の表情がみるみる苦痛に歪む。


しかしここから意地が炸裂の原田。足を極められたまま体を回転させゼロを場外に投げ出して脱出。間髪入れずにそのゼロ目掛けてスライディングヘッドバット。
ゼウスも入ってきたGAINAをラリアットで場外へ落とすと、走り込んでトップロープ越えの場外フライングラリアットで二人まとめてなぎ倒す。


ようやく連携が出てくる挑戦者チーム。ゼロを捕らえてまずはゼウスのラリアットと原田のスピアーの同時攻撃。
そのゼロを原田は断頭台に固定、そこにコーナートップからゼウスのボディプレスが降って来る。


ここで救出に入ったGAINAが奮闘。原田をタックルで吹っ飛ばすとゼウスの串刺し攻撃を両足で迎撃。よろめくゼウスを体重の乗ったラリアット2連発でダウンさせ、コーナートップから迫力充分のダイビングエルボードロップ。


そしてフィニッシュアピールしてからの落差充分ラストライド。勢いよく叩きつけられるゼウス。そのまま全体重でフォールのGAINA。
しかしこれは原田が寸ででカット。


チョップを打ってくる原田の顔面を掻きむしってGAINAは、すぐさまブレーンバスターの構え。
踏ん張って耐えた原田は逆にGAINAを完璧にブレーンバスターで投げきってみせる。腰を押さえながらもガッツポーズの原田。

続けて見事なブリッジでのノーザンライト・スープレックスホールド。焦って肩を上げるGAINA。

さらなる追撃をとロープに走る原田。そこを後ろからゼロが捕まえ羽交い絞め。そこに狙ったGAINAのランニングエルボーは間一髪で原田が避けて誤爆。エプロンでうずくまるゼロ。
ひるむGAINAに原田は後ろからスクールボーイ。意表を突く攻めをなんとかカウント2で返すGAINA。


一気に畳み掛けたい挑戦者チーム。GAINAのラリアットをかわした原田は巧くその背後を取って豪快にジャーマンスープレックスホールド。それでも返してゆく執念のGAINA。
その攻勢を引き継ぐゼウス。力任せのボディスラムでGAINAを残り余力を搾り出す。


そしてゼウスはGAINAが立ち上がるのを待ってから、その首筋を捕まえて必殺の高角度チョークスラム。GAINAの巨体が観客の悲鳴と共に宙空から白いマットへと叩きつけられる。

絶体絶命のGAINAを原田を振り切ってカットするゼロ。あわやベルト移動の局面。
丁々発止の攻防、持てる技を駆使してチャンピオンチームを追い込む挑戦者チーム。


今度はゼロを捕まえるゼウスと原田。コーナーに振ったところをゼウスが串刺しラリアット。
しかしこれを避けてゼウスを自爆させたゼロは、そのまま走りこみトレインで構えていた原田へラリアット。返す刀でコーナーのゼウスに串刺しのニーを浴びせる。
そしてそのまま原田へのシャイニングウィザードと怒涛の反撃。

そのゼロに向かっていこうとしたゼウスに、コーナートップのGAINAが重爆ミサイルキック。
場外へと転がってゆくゼウス。そこにプランチャで重爆追撃のGAINA。


ここからゼロの波状攻撃。スタミナの切れかかっている原田に道険笑歩拳を叩き込み続けざまにカオスブレイク。必死の形相で返す原田。


それならばとゼロは原田の側頭部に容赦ないエルボーの連打。原田も懸命に返してゆくが、鋭さで勝るゼロの肘が体の芯まで衝撃を与え、確実なダメージを植えつけてゆく。


それでもなんとか猛攻をかいくぐり、ランニングエルボーで一矢報いる原田。しかしすぐさまゼロのラリアットがその首を狩る。原田の体が振り子のように頭からマットに落ちてゆく。


ここでゼロはジャックハマーを繰り出してガッチリとフォール。それでさえも3カウントを許さない原田。すでにプロレスラーの本能のみがその体を突き動かしているのか。


場外から戻ってきたGAINAは原田を抱え上げるとコーナーのセカンドロープに立つゼロに渡す。ゼロはそれを持ち上げると座り込む落差を利用して頭をトップロープに打ちつけるスティグマータ。
その背後を捕まえたGAINAは驚愕のドラゴンスープレックス。

これを場外から体ごと突っ込むようにカットしたゼウスだったが、そこからGAINAにコーナーに押し込まれ分断されてしまう。
後を託されたゼロは原田をボディスラム。すでに意識が朦朧している原田は受身もままならない。

そしてコーナートップに立つゼロ。満を持して必殺の魔界一のスプラッシュが炸裂。
すでに原田に返す力は無く、凄まじい歓声の中3カウントが入りゼロ&GAINAの激勝、とともに4度目の防衛成功。

完膚なきまでに叩きのめされてしまった原田。余力を残しながらもチャンピオンチームの経験と勢いに封じられた形のゼウスはそれを悔しげに見つめる。

ゼロとGAINAはテッドレフェリーに腕を挙げられて勝利者宣言。原田に駆け寄ったB&Gの面々を見下ろすかのよう。


勝利の余韻の中、抱き合って何か囁きあうゼロとGAINA。
リングに上がってゼウスと原田のの健闘を称えるブラックバファロー。
そして勝利者トロフィーの授与、続いて再び二人の手元に戻ってきた大阪タッグベルト。

誇らしげにポーズを取るチャンピオン2人。大阪が生んだ最強のタッグチーム、ゼロ&GAINA。


最初にマイクを握ったのはGAINA。
GAINA「大阪のみんな久しぶりー!今日は原田とゼウスの挑戦受けてやったんだがな、コイツらオレのいない間に何フューチャーしてやがんだよ!
正直ビックリしたぞ、メチャメチャ面白かった!おいオマエらなかなかやる気があるんだなー!
おい今日はなオレたちが勝ったけどな、いつでも挑戦受けてやる!またオレたちとフューチャーしようぜ!頑張れオマエら!」


そしてリングに残った原田に手を差し伸べるチャンピオンチーム。しかし原田はその手を払い除けてゼロを睨みつける。その髪の毛を掴んで睨み返すゼロ。


そして声援の中ゼロのマイクを握る。まずは原田を指差して、
ゼロ「オイ原田、最後の張り手をオレの顔にできるようだったらもう1回勝負してやるからな、腕磨いとけ!」
観客の拍手の中、若手に肩を借りて原田は退場してゆく。その目は叩きのめされてなお鋭く先を見つめているよう。

ゼロ、今度は超満員の観客の方を向いて話し始める。
ゼロ「オイ大阪のみんな!オレたち二人が大阪最強のタッグチャンピオン、ゼロGAINAだー!
おいオマエら、オレらは誰の挑戦でも受けるぞ!次の挑戦者は誰だ、出て来ーい!
いねえのか!?沖縄持って行っちまうぞ!」


その時、入場口から出てきたのは欠場中のアジアン・クーガー。ゼロはその姿を確認するとさも嬉しそうに続ける。
ゼロ「ムチャルチャでオレたちに挑戦か?上等だ!だがなオマエ怪我してるんだよな!?」
クーガーはロープ越しにチャンピオン2人と対峙。そしてマイクを持つ。
クーガー「1ヶ月!あと1ヶ月や!ムチャリブレ完全復活宣言!オレが復帰したらな!オレとツバサでオマエらのそのベルトに挑戦したろやないけ!」


そしてゼロは自らの再来を宣言して締めくくる。
ゼロ「よし!次の挑戦者はムチャルチャだ!ムチャルチャが終わったらな次は、大阪のみんなのニーズに応えて、タイトルマッチやってやるからな!
次の防衛戦までにオレたち二人の試合が見たければ沖縄に来いやー!」

久しぶりの大阪プロレスでマットの感触を楽しみながらも王者としての役者の違いを見せ付けたゼロ&GAINA。
そしてその闘いの中で掴んだ若手が作る未来への手応え。試合後のマイクはそれを素直に喜ぶともに彼らが未だ大阪プロレスへの親愛を持ち続けている事を感じさせてくれた。
激闘を終え、ゼロとGAINAは再び本拠地である沖縄へと帰ってゆく。そこに待ち受けるのもまた闘い。加えて走り出したばかりの団体経営に後進の育成という多忙な日々。
だからこそ大阪プロレスがもう一つの故郷である事をずっと忘れてほしくない。
それは選手の絆、ファンの暖かさ。この日置いてゆくものをまた取りに戻ればいい。ベルトはその為の最も有効な通行手形。
大阪プロレスも未だゼロ&GAINAを欲している。その使命はまだ終わっていないのだ。
その活躍は伝説と呼ぶにはまだ早いのだから。
<王者組>○ゼロ&GAINA(19分18秒 魔界一のスプラッシュ)ゼウス&原田大輔×<挑戦者組>
大阪タッグチャンピオンのゼロ.ガイナは一枚上手のレスラーだと改めて思いました。特にゼロは素晴らしいですね。たたずまいからして別格な存在、個人的感想ですが、沖縄に行ったゼロ、ガイナ、コンドル、ロベルト田中、彼らは全国区で充分通用するレスラーばかりなんで非常に勿体ない。でも彼らが選んだ道だから私らは応援するしかないんですよね。
今の観客動員を考えると、その存在だけで客が呼べるスターが欲しいです。
沖縄組がいなくなったコトで一致団結して結果若手が伸びたのも事実なんですが沖縄組のカリスマ性を埋めるまでには至ってないですよね。
タッグでなら本当は戦国タッグにゼロ&GAINAのような絶対性が備わればなぁと思うんですが、いつも大事なトコで対立しちゃうんですよね。
でもクーガーもいきなりタイトルマッチで復帰してきますし、タイガース達の行動がその現状を変えなきゃって危機感から来てるものであって欲しいと思います。