2009年06月04日

大阪プロレス 天下統一2009観戦記 with 戯れ言 -後半戦-

osaka10i.jpg

※写真は当日の大会のものです

後半戦です。またしてもダラダラと長文です。
誤字脱字あっても勘弁してくだせい。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Dスペシャルシングルマッチ60分1本勝負
 ○佐々木健介
 (6分08秒ラリアット→体固め)
 ×The Bodyguard

※激しいぶつかり合いを見せたと思いきや、健介がThe Bodyguardを手玉に取り終始自分のペースで試合を進める。The Bodyguardは自分の持ち味を生かすことが出来ずそのまま敗北。パワーだけではどうにもならないという現実を見せ付けられた結果となった。

09052090.jpg 09052055.jpg

健介の存在感を前にサングラスに表情を隠してボディガー。
ゴングが鳴ってもしばし距離を取ってにらみ合う両者だったがロックアップから力の攻防がスタート。

osaka10g.jpg

体格的に見劣りはしないボディガー、健介を捕まえヘッドロック。まずはそのパワーで片ヒザを付かせる。

09052056.jpg 09052091.jpg

これを解いてリング中央でタックル激突。これを合図とするように容赦ないチョップの打ち合い。
健介はチョップ連打でボディガーをコーナーに追い詰めると、その力を誇示するかのようにボディガーを軽々とブレーンバスター。

09052092.jpg 09052057.jpg

ボディガーも負けじとパワースラムで健介を投げきると続けてジャックハマー気味にブレーンバスター。
ここから挑戦者決定戦で秀吉のスタミナを根こそぎ奪ったラリアットを連発するボディガー。奇しくもその時と同じように相撃ちラリアットで受ける健介。

09052093.jpg 09052058.jpg

しかし威力か耐久力か、徐々に健介のラリアットがボディガーを圧倒。
健介はボディガーとのラリアット合戦に勝利すると続いて豪快な逆一本背負い。

09052059.jpg 09052060.jpg

それでも再びラリアットを繰り出すボディガーだったが、健介はその腕をラリアットで撃ち落すと、返す刀のラリアットでダウンさせてみせる。
そして最後は健介の充分に助走をつけた豪腕ラリアット。ボディガーもラリアットで合わせようとするもそれより早く健介の腕が振り抜かれダウン、そして為す術も無く3カウント。
健介はボディガーの健闘を称えてリングを後にする。


◎雑感 : デビュー3ヶ月のボディガーとデビュー23年を数える佐々木健介の試合。その成立の背景にはボディガーと秀吉による挑戦者決定戦という順序立てがあり、あくまでも大阪プロレスの代表としてのシングル大一番。
しかしこの試合の内容が大会自体のクォリティを推し量るべき休憩後一発目の試合として相応しかったかと言われればやはり疑問が残る。
もちろん健介オフィスの代表である佐々木健介の参戦であるから順番的には優遇されて然るべきだろう。しかしここからセミ、メインにバトンを渡すべき流れの中で観る者の高揚感はこの試合に果たしてあったのか。
この日詰め掛けた観客を始め、普段大阪プロレスを観戦する機会の少ないプロレスマスコミにこれを見せる意義は何だったのか。
そこに深いテーマがあるというならば、これを見届ける以前よりの大阪プロレスファン、そして予備知識の無い初観戦客はこの試合の何に期待すれば良かったのか。

まずは闘う二人の対比はどうか。
ボディガーの素質はそのボディビルダーとしての実績を考えれば通常の新人と同じ物差しで計るべきではない。その体つきは一目見れば分かる規格外ぶりである。
しかしそれはあくまでもボディビルダーとしてである。皮肉にもボディガーは佐々木健介と向かい合う事でプロレスラーとして決定的に不足している部分を露呈してしまった。
なぜなら佐々木健介の肉体は筋肉を作りそのうえに脂肪を乗せ、またそこに筋肉を造るという工程を幾重にも繰り返す事で完成した、プロレスラーとして理想とも言える攻防一体のボディ。対するボディガーはプロレスという「受け」を絶対的に必要とする競技で必要不可欠なショック吸収性に長けた肉体ではない。見た目にも表面が張り詰めていて固いのである。

これは勝手な想像でしかないがプロレスラーたる佐々木健介はボディガーを見て「無理はさせられない」と思ってしまったのではないか。プロレスは勝敗を競う以前に相手にケガをさせないと言う絶対前提がある。相手の実力に合わせて試合を組み立てるのもプロの仕事である。
確かにボディガーはある程度の受身ができている。同じボディビル畑から大阪プロレスに参戦を果たしたゼウスと比べてもしっかりとしたものだ。
しかし試合は常に不確定要素が付きまとう。そこで必要となってくるのが、いくつもケガを負いながら防衛本能を発達させたプロレスラーとしての経験である。
そしてそれをデビュー3ヶ月のボディガーに求めるのは酷な話である。だからこそ「無理はさせられない」のだ。それならばやはり彼は残念ながら第5試合目に求められる試合クォリティをシングルでは実現できる水準まで達していないと言えるのではないか。

もしこの事が佐々木健介にボディガーに対して一歩踏み込めない事実となってしまったとしたら、それはベテランが新人レスラーのレベルに合わせて行う試合と何ら変わらなくなってしまう。遠慮をさせてしまった時点で勝敗以前に敗北してしまっているのだ。
観客にとってもプロレスを観るということはパワーだけで無くどんな技でも受けきってみせる技術、そしてそれを試合終了まで持続させる常人離れした集中力とスタミナを目の当たりにするということだ。人はプロレスラーの30分近く動き回っても平気でマイクパフォーマンスを繰り広げるタフネスさにもプロを感じるのだから。
いくらボディビル界の大物であってもプロレスに参戦する以上、観る者は彼をプロレスラーの基準で見られざるを得ないのである。

失礼を承知で言わせてもらえば、この試合の決まった秀吉との挑戦者決定戦の時も終盤にきたあたりでボディガーのスタミナは切れてしまっていて試合運びに確実性を失う場面が見られた。プロレスが一瞬の気の緩みで重大な事故を引き起こしてしまうほど危険なものだと考えれば、その様子は相手にパワーセーブを意識させてしまい、結果として試合の熱を奪ってしまうものになりかねない。
今回の試合においてもボディガーに焦燥感のようなものが見え隠れし、6分少々の試合ながら体力的にも精神的にも消耗し切っているように見えた。内容の良し悪しを評価する以前に佐々木健介との格の差の前にその全てを吸い取られてしまったように感じたのだ。

ならば注目度ではどうなのか。
実際のところ大阪プロレスファンにとってボディガーがまだ完全に感情移入を果たせていない存在だったのが惜しい。サタナイのみの限定参戦、そして言葉を発しない謎めいたキャラクター性もあって3ヶ月という短い期間(登場からは半年以上経っているのではあるが)ではファンとの距離を埋めるには至らなかった。
あと1年プロレスラーとしての鍛錬と性格付けの期間があれば、この試合はもっと違ったものになったかもしれない。ボディガーは今の大阪プロレスにはいない面白い素材、もっと多くのパフォーマンスを通してじっくりとその魅力を知ってもらってからでもこのような大勝負は遅くなかった。
正直ボディビルダーとして表現力を磨いたボディガーがなぜ今のような抑え気味のポジションなのかも分からない部分はある。そのあたりは本人の意思もあるのかもしれないが彼の過去に目を通せば、ボディガーの潜在能力はそのパワーだけではないと簡単に理解できてしまうのだから。
その両方が伴っていれば、名実共にどんな会場でも隅々まで観る者を惹きつける強い存在感のThe Bodyguardを披露することができたかもしれない。

ではなぜこのタイミングでボディガーにその大役を任せなければいけなかったのか。いくら人並み外れたパワーがあるとはいえデビュー3ヶ月の選手を大物プロレスラーとシングルでマッチメイクしてファン及び初観戦客に是非を問う必要があったのだろう。
佐々木健介に対しての実力差は明確でファンの支持的にもいわば発展段階のボディガーを、大阪プロレスというブランドを関東でセールスし直すべき大事な大会で矢面に出さなければいけなかったのか。
勝手な事を言わせていただければ、現状としてボディガーよりも大阪プロレスで実績を積んでいると言えるヲロチをなぜパートナーにしてタッグマッチなどにできなかったのか。ルードでありながらも試合運びに定評のあるヲロチを並び立たせれば試合に旨みを持たせる事ができたのではないか。
要はボディガーにまず求められるのは佐々木健介にも見劣りしない怪力、そのインパクト重視に尽きると思うのだ。
だからこそボディガーの可能性をアピールしたいのならば試合の流れはヲロチに任せて自由に暴れさせればよかったように思う。正直せこい話かもしれないがそのパワーを見せ付けたいのならばリフトアップできる体格の対戦相手も欲しかった。
ファンの立場では分からないプロデュースの苦労もあるのだと思うのだが、この試合次第ではボディガーが大きくプロレスファンに浸透するきっかけ、少なくとも大阪プロレスファンにとってボディガーを大阪プロレスの一員として頼もしい存在である事を印象付けるきっかけになり得ただけに個人的には非常に残念だ。

年齢的には遅いデビューとはいえボディガーは大切に育てていって欲しい。プロレスラーとして期待され過ぎ、順序を踏まなかった事で結果として挫折を生んだケースは意外にも多い。
ボディガーのプロレスラー人生はそのボディビルダーとしての輝かしい権威を損なうものであってはいけないと思うのだ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

E大阪プロレスタッグ選手権試合時間無制限1本勝負
 <王者組>ザ・グレート・サスケ&×アジアン・クーガー
 (13分14秒変形回転エビ固め)
 <挑戦者組>○タイガースマスク&ブラックバファロー

※王者が初防衛に失敗。タイガースマスク&ブラックバファローが第22代大阪プロレスタッグ王者となる。

※序盤、タイガースはサスケを蝋人形にすることに成功するが、クーガーがすぐさま解除。クーガーのラダーチェアーアトミコが決まりバファローが瀕死の重傷を負う。すると、タイガースは瀬戸の水博士を呼び出し鉄人を起動。これによりサスケ、クーガーはもちろん場内にいる観客、スタッフ、関係者を動揺させる。これでペースを乱されたクーガーがジャーマンを仕掛けようとしたところをタイガースが切り返して丸め込んで勝利!タイガースは「このタイトルの価値をどん底まで下げてやる」との宣言通りタイトルにドロを塗りたくった上でタイトル奪回に成功した。

09052061.jpg 09052094.jpg

サスケとクーガーの王者コンビを今かと待ち受ける最悪軍団ことタイガースとバファロー。
当然のごとく選手権宣言もせぬままに挑戦者コンビが襲い掛かって試合はスタート。

osaka10h.jpg

いきなりタイガースの魔術で蝋人形化してしまうサスケ。
それでもクーガーが奮闘、バファローへのUターンブルドッキングヘッドロックに合わせてタイガースに延髄ギロチンを落としてゆく。

09052095.jpg 09052062.jpg

クーガーにビンタで魔術を解いてもらったサスケはその怒りのままタイガースとラダーを使った攻防に。
しかしラダーを敷いたトペアトミコは案の定で誤爆。ラダーを被ったサスケはタイガースにいいように振り回される。

09052063.jpg 09052064.jpg

ここでクーガーがまたしても好フォロー。タイガース、バファローを次々と場外に落とすとサスケの逆トペを呼び込む。そして最悪軍団を並べてイス盛り、その上に場外ダイブのトペアトミコwithチェア。

09052065.jpg 09052066.jpg

勢いのままに王者コンビ、リングにラダーを持ち込むとバファローにラダーチェアアトミコ狙い。これを食い止めようとラダーに登って魔術を仕掛けるタイガースだがクーガーに効く訳も無く撃ち落される。
クーガーのラダーチェアアトミコは見事に決まるもタイガースがすぐさまカット。ここにラダーを持ったサスケがフォローに入るもクーガーに誤爆、両者は場外に。

09052067.jpg

ラダーチェアアトミコを受けあられもない格好で大ダメージのバファロー。怒ったタイガースは「鉄人だ!鉄人だ!」と瀬戸ノ水博士を呼び寄せ鉄人起動を指示。
かくしていつもの儀式が(簡略版で)執り行われる。タイガースワールドに呆気に取られる観客とサスケ。

09052068.jpg 09052069.jpg

鉄人キャップとコントローラーを装備し無敵となった鉄人はサスケとクーガーをいともたやすくラリアットでなぎ倒す。しかしタイガースのミスでコントローラーの接続が外れてしまい鉄人は行動不能になってしまう。
動揺するタイガースをサスケは後ろから丸め込み。タイガースがこれを返すと続けざまにサンダーファイヤーパワーボム。

09052070.jpg 09052071.jpg

ところがここで行動不能になったはずの鉄人というかバファローが再起動し、フォールで固めるサスケの背後からのスクールボーイ。
再び乱戦となったリング上。タイガースに羽交い絞めにされたクーガーにバファローのラリアットが迫るもこれはサスケが足を払って阻止。

09052072.jpg 09052073.jpg

激しいバックの取り合いの中、タイガースはクーガーの足をフックすると前方に回転してのエビ固め。
これがガッチリと決まって3カウント、挑戦者コンビがベルト奪還に成功。
何が起こった、とクーガーに詰め寄るサスケ。最悪軍団はリング上の2人をしたり顔で罵りながらベルトを掲げ退場。


◎雑感 : 多くの意見が「呆気にとられた」と語るセミファイナル。それは度肝を抜かれた、衝撃を感じた、という類いのものでは無くて文字通り呆けてしまって何が起こったか分からないものであった。
2月の大阪ハリケーン2009ではタイトルマッチの常識を破る乱行ぶりにファンからも「大阪タッグの権威を貶めるもの」という意見が多かった同カード(王者組と挑戦者組の立場は逆)。純粋に強さを競うべきタイトルマッチ、しかも6000人を集めたビッグマッチのセミファイナルとしてあれは相応しいのかと。
しかし今になって思えば、ぶっつけ本番でああいった形式の試合に挑んだ訳で、未完成さには今でも心痛いがその心意気というかチャレンジ精神は評価すべきなのかもしれない。

そして今回の防衛戦でもリターンマッチだと意気上がるサスケとクーガーに対して、王者コンビのタイガースとバファローは「ベルトの権威を失墜させる」という宣言のもとにこれを受けた。要は同じようにトンチンカンにやるぞ、という事だ。
これで大阪プロレスのファンにとってセミの試合はある程度内容の予想が付いた。ファンが思い描く「タイトルマッチらしい試合」については一種のあきらめに近い気持ちで観る事ができたのだ。
ならばという事で、その時点で大方のファンの興味は大阪で見慣れたファンタジックな試合内容をどのように関東向きにアレンジし、後楽園ホールの多種多様な観客、見守る各団体の選手、そして様々な切り口で見つめるプロレスマスコミにインパクトを与えるかということに移った。
しかしながらまさかいきなり上級編で来るとは思いも寄らなかった。タイガースとバファローは大阪府立で見せたものよりも更にハードルの高い内容で攻めてきたのである。

もちろんこの後楽園ホールの興行ではハッスルやマッスルを始めとして、エンターテインメントとしてのプロレスの可能性を模索するものが多く見られる。そして今回参戦するサスケが佐藤兄弟と繰り広げるみちのくプロレス宇宙大戦争は年に数回ながらも一つの安心ブランドとして後楽園ホールに多くの観客を呼び込むことに成功している。このように常に新しいものに飢えているプロレスファンも多いことから、それを受け入れる土壌は既にできているのだ。
ならばなぜそのサスケと最悪軍団の絡みはこれほどまでに「付いていけない」的な空気を生んでしまったのか。サスケの宇宙戦争には心の広い記事を寄せるプロレスマスコミからも今回の試合(というか鉄人)には懐疑的な意見が多い。
この差はいったい何なのか。笑いは万国共通。笑いの本場である大阪でウケているものがなぜ東京では微妙だったのか。

それは単純に制約された短い時間に多くを詰め込みすぎて全体的に丁寧さが足りなかったのが最大の原因だと思うのだ。もし今回の一連のトンチンカンな攻防から鉄人ワールドまで観た人がまったく笑えなかったというのであればそれは単純に流れが手抜きだったからではないか。
試合序盤から見てもプロレスの攻防を差し置いてサスケとタイガースは蝋人形化そしてラダーの攻防とやっつけ気味にネタを繰り出す。この時点での大阪プロレスを知る者であれば2人の展開が作業的過ぎて笑いに至る「溜め」が足りないと気付く。そして中盤まででクーガーは場外チェアアトミコとリング内でのラダーチェアアトミコを完了。
ここまでの流れの早さだけでも通常の試合であれば突っ込みたくなる部分満載ではあるが、そこは以後のタイガースワールドに期待して不問にしたとしよう。
ところがそれでも時間が足りなかったのか鉄人召還の儀式は今まで見た事もないような忙しさで淡々と進んでゆく。予備知識の無いプロレスファンなど完全に置いてけぼりの状況だ。

実際のところ鉄人はこれまで2回見て2回とも腹を抱えて笑ってしまったのだが今回に関しては不安が先行してしまった。当のタイガースも心から楽しんでいないように見えてしまったのだ。
タイガースの代表作といえる宇宙パワーにしろ今回の鉄人にしろ、本来その手作り感に観客どころかセコンド陣まで楽しませる魅力があるものなのだが。
その点でも今回のタイガースワールドは彼主導の世界ではなかったように思う。擁護する訳ではないが、普段のタイガースなら自分で周到に作り上げた笑いのプロセスを省くなどということはしないはずだし、時には足りない部分を埋めるアドリブで更に笑わせる余裕さえあるのだ。
それができなかったのは、やはり全てが時間によって支配される世界だったからかもしれない。

正直なところ今回の出来栄えではファンは「もったいない!」と感じるだろうし、初めて観る人からすれば「笑いどころが分からない」と戸惑うはずだ。この試合のシリアスな部分を犠牲にしてまで公開した鉄人が消化不良な空気をもたらしてしまったから、その後の勝敗という顛末まで何かギクシャクしたものを感じてしまった。
しかも鉄人儀式のような美味しい場面で場外から傍観していたサスケももったいない。「何やってんだ!」と儀式に割って入るくらいのKY加減がサスケの素晴らしさだと思うのだが、そういった自由さがこの日のサスケには見られなかったように思う。
そしてこの試合形式で一番割を食ったのはクーガーである。一連のタイトル奪取から陥落まで自分のスタイルを貫ききれず振り回され続けた感がある。しかし一方でこの試合を一番冷静に見つめていたのもクーガーだったのではないか。
クーガーほどの実力者が毎回ベルトに関して恵まれていないのは見ていて辛いものだが、今回のような試合であっても腐らずに自分のスタイルに徹していたところに彼のプロ意識を見たのも事実だ。これからの奮起を一層の期待をもって待ちたい。

そんな訳でタイガースの天才的なひらめきから生まれる世界が、そのシュールな笑いの絶対方程式が、大事な場面で狂いを生じてしまった。しかしサスケの宇宙戦争が関東でハズレ無しならば、タイガースワールドだって関西ではハズレ無しなのである。
今回ベルトを取り戻した事でサスケとの因縁は一応の決着を見たのか。それともこれが更に戦地を拡大してゆくのか。
どちらにしろタイガースマスクというキャラクターはこれからも突き抜けていって欲しいと思う。ブラックバファローという理解ある同志と共にこの新しいプロレスのスタイルを理解してもらえるまで通してゆけば、いつかそれが大阪プロレススタンダードの一つとして認識されるはずだ。
多くのプロレスファンはその世界の持つ可能性の素晴らしさを知らないだけだと自分的には勝手に思ってしまっているのだ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Fスペシャルシングルマッチ時間無制限1本勝負
 ×ビリーケン・キッド
 (20分43秒ダイビング・セントーン→片エビ固め)
 ○ディック東郷

※IMPでの雪辱を果たしたいビリー。しかし、東郷の絶妙な試合運びに苦戦を強いられる。それでも意地で東郷に喰らいついていくビリーは鉄柱越えのトペ、コウモリ吊り落しを決める。終盤、ビリーがスーパーウラカン・ラナを狙ったところ、東郷がキャッチしてパワーボムで切り返す。さらに東郷は雪崩式ペディグリー、ペディグリー2連発からダイビング・セントーンのフルコースを浴びせビリーを叩きのめした。試合後、ダメージが深いのかセコンドに肩を借りて会場をあとにする東郷。ビリーは悔しさを隠しきれない様子で、「大阪プロレスのベルトを賭けてお前を逆指名する!」と背水の陣でのリベンジを誓った。

09052074.jpg 09052075.jpg

まずは大阪プロレス王者ビリーケンキッドの入場。被っていたオーバーマスクを客席に投げ入れるサービス。

09052076.jpg 09052077.jpg

ノンタイトル戦という事もあるのだろうが前回の10周年記念のIMP大会では自らがフォールを奪われた身。先の入場はあくまでも挑戦者としての心持ちからか。

osaka10j.jpg

そしてディック東郷リングイン、敵地リングで堂々のアピール。

09052078.jpg 09052096.jpg

歓声の飛ぶ中メインイベントのゴング。
まずは首投げからグラウンドに持ち込むディックに対し、ロープワークを挟んで軽やかな動きのビリー。
ここからコークスクリューヘッドシザースホイップを決めるビリーだが2発目は側転してディックが回避。

09052097.jpg 09052080.jpg

それでもドロップキックからビリンコバスター2連発と押し気味に試合を進めるビリー。
ディックはこの流れを寸断すべく場外へ。これを追うビリーだが逆にイス攻撃を受けてしまう。

090520100.jpg 090520101.jpg

リングに戻るとディックの逆襲が始まる。シルバーブレットを落としビリーの動きを止めるとコーナーに詰めて鉄拳制裁。

090520102.jpg 090520103.jpg

ヒジを食い込ませてのコブラツイスト、ボディへのフットスタンプ、そしてボディシザースと攻撃をビリーの腹部に定めるディック。

09052081.jpg 09052082.jpg

なんとかスリーパーをバックドロップに切り返したビリーだったが、エプロンに転がったディックにロープ越しのエルボーを受けそのままブレーンバスターの態勢に持ち込まれてしまう。

090520104.jpg 090520105.jpg

これを体を返してエプロンに着地してみせたビリーだったがディックはすぐさまぺディグリー狙い。
これをショルダースルーで返したビリーは、そのまま追いかけるように鉄柱越えのトペコンヒーロ。

090520106.jpg 090520107.jpg

ディックをリングに戻したビリーはコーナートップから矢のようなミサイルキックを放つ。
続いてライガーボムに抱え上げるビリーだがディックは暴れて回避。それでもビリー腕極めのラリアットに捕らえこれを逃がさない。

090520108.jpg 09052083.jpg

エルボー合戦、ラリアットの相撃ちと消耗戦に突入の両者。
ダブルのノックダウンから起き上がるとディックは回転エビ固め。これを回転エビからジャックナイフ固めで切り返してゆくビリー。
これを更にクリップラークロスフェースロックで切り返すディック。

09052084.jpg 09052085.jpg

何とかロープエスケープのビリーに対し再びぺディグリー狙いのディック。
しかしここで息を吹き返したビリー、これを持ち上げてそのままコウモリ吊り落し。そしてコーナーに宙吊りにして、その背中への串刺しドロップキック。

090520109.jpg 090520110.jpg

続いて立ち上がるディックの頭上にビリーの飛びつきウラカンラナが飛来する。
ところがこれをキャッチしたディックはそのままパワーボムで叩きつける。そしてディック東郷の象徴の一つペディグリーがついに放たれる。

09052086.jpg 090520111.jpg

ここでトドメのダイビングセントーンをとコーナーに登るディックだったがビリーはこれを追走、張り手を見舞ってから飛び付いての雪崩式フランケンシュタイナー。
ここから畳み掛けたいビリーだったがベルティゴは阻まれ、ラ・エスパルダは寸前で返される。ならばとビリーはビリケンドライバー。

090520112.jpg 09052087.jpg

これもカウント2で返されたビリーはファイヤーバードスプラッシュを敢行すべくコーナーへ。
しかしこれを待っていたかのようにディックは蘇生しビリーにナックル。そして自らもコーナーに登ると雪崩式のペディグリー。

09052088.jpg 09052089.jpg

更にペディグリーを連発してビリーを追い込んだディックは息の根を止めるべくダイビングセントーンを投下。
これを返す力は残っていなかったビリー。ついに激戦に終止符、ディック東郷が大阪プロレス後楽園ホール大会のメインを制する。

osaka10k.jpg

死闘を物語るかのように勝者のディックでさえ一人で歩けず若手に肩を借りて退場してゆく。
同じくダメージで立ち上がる事もできずうなだれたままのビリーだったがようやくマイクを握る。
大阪プロレスチャンピオンとして許されぬ連敗を喫したビリーはファンに謝罪するとともに次の挑戦者に東郷を逆指名、ベルトを賭けての最終決戦で雪辱することを誓った。


◎雑感 : 負けてはしまったもののビリーケン・キッドという選手を大阪プロレスファンとして誇りたい。激闘になる事は予想できたが、結果がどうであれディック東郷をここまで体力的に追い込んだ事実は大きい。
なぜならこのメインに至るまでの対抗戦で、他団体の選手と勝敗以上の差を感じてしまっていたからだ。リング上に彼らが立った瞬間から感じる違和感とともに。
それは生き馬の目を抜くような関東地区のプロレスで生き残ってきた自信の大きさであったり、単純なチョップやキックのような技の指先一つ、つま先一つの伸びという小さいことのようで実は大きな表現力の違いであったのかもしれない。

更に今回の後楽園ホール大会は自前の興行でありながら、そして多くのゲストを迎えていながら、さも自分達の方がゲストで「よそ行き」であるかのように他人行儀な歯がゆさがあった。とにかく彼らにはいつもの「らしさ」が欠如していたのだ。違和感はそこから来たものだろう。
これは格闘技の聖地後楽園ホールに棲む魔物のせいか。それとも単純に関東と関西のプロレスにおける空気の違いに息苦しさを感じたのか。とにかく選手の多くはいつものノビノビとしたファイトが鳴りを潜めていた。
そういった意味で比較的関東での参戦機会を得ている(もしくは過去に得ていた)政宗やクーガーの東京組が堂々としていたのは実に興味深いのだが。

ただしビリーはその部分でまったく萎縮していなかった。彼が持つその存在の華やかさ、そしてその外見に負けない確かな実力。受けの上手さ、攻めの力強さ、ここ一番の引き出しの多さなどはどこの団体に参戦してもまったく見劣りしないものだった。
実際ディック東郷と正面をきって力の勝負ができる選手は少ないと思う、それがメジャーの選手であっても。まず技の確実性とスタミナが両立できていなければタフなディックの前にどんどん周回遅れになってしまいアッという間に敗北というゴールを迎える。
試合は終盤近くまで互いに得意技を封じられながらも、その引き出しを捻り出しながら体力を削りあう展開が続いた。それぞれの得意技に必殺足りえる説得力があるからこそ容易には出させない、双方が脅威を感じたからこそタイトルマッチでなくとも緊迫感のある試合となったのだと言える。
そういった意味ではビリーケン・キッドは大阪プロレスの顔という大役を間違いなく果たしていた。

しかしその一方でビリーの体調的は万全では無かったのかも、と感じる点も随所にあった。スケジュール的にも週末のタイトルマッチ(vs高井憲吾)からホリパラ、そして月曜の休みを挟んで前日のハッピーウィークデーに参戦などハードかつタイトに試合をこなしているからコンディション的にも辛い部分はあったかもしれない。
ここで平日興行の話題になってしまうと長くなるので差し控えたいと思うのだが、正直なところ大阪プロレスのトップとしてタイトルマッチと同列と言っていいほど重要なメインを張る選手なのだからせめて前々日とともに前日は休養させておくべきだったのではないかと感じた。
最後までビリーのスタミナは切れることはなかったものの、後半になってのラ・エスパルダなど得意なムーブに入るスピードはいつものキレでは無かったように思う。100%のビリーケン・キッドがディック東郷に勝ったかどうかの議論は別として、あの鮮やかな動きを初観戦のお客さんに観てもらえなかったことはやっぱり残念だ。

それでもこの10周年記念大会というタイミングで多くの選手からリスペクトされる存在であるディック東郷と再び接点を持てた事は大きな収穫だ。それはビリーにとっても大阪プロレスにとっても。
ビリーがディック東郷と素晴らしい試合見せることで彼と彼の持つベルトに注目が集まり、参戦を希望する選手が増えるという図式が出来上がるならそれは理想的だ。
もちろんそれに伴う門戸開放は大阪プロレスにとってメリットとデメリットの両方を持つ事が考えられる。刺激的なカードが組めるという観客動員的メリット、他と実力で評価比較される世界に飛び込む危険性というデメリット、しかし外から多くのノウハウを吸収できる技術的メリット。
そしてそれらは大阪プロレスが関西で「井の中の蛙」になってしまわない為にも間違いなく必要になってくるものなのだ。

二つの10周年記念大会を経て、ビリーケン・キッドとディック東郷とのストーリーはタイトルマッチというクライマックスに向かって突き進んでいる。ビリーは2連敗という事実が風化してしまう前に勝利という名のプライドを取り戻さなければいけない。
そのプライドは大阪プロレス選手とそのファンのプライドと言ってもいい。大阪プロレスの掲げる全国進出という野望はビリーの活躍に触発された選手一人ひとりの意識の底上げが無くして決して為しえないものなのだから。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

戯れ言、終了いたしました。
他の記事ほったらかして何やってんだか。文章的にレベル低いのとか、言葉的に失礼な部分がありましたら申し訳ありません。
でもこういう時にしか書けないものなので大目に見てくださいませ。
posted by ラポン at 08:22| Comment(6) | TrackBack(0) | 大阪プロレス観戦記2009 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
乙です。

最後の方の文章を読んで、ひらぷ〜でタイガースが武丸連れて、人の試合に出て来る時の「開国しなさ〜い。開国しなさ〜い」てのが思い浮かんだw

あれって、意外にもメッセージ性があったんですかね(笑)
Posted by ちゃー at 2009年06月04日 13:39
ありがとうございます。
改めて
思い出しました。
いろいろな思いのある大会でしたが
今後の大阪プロレスに期待して
応援をつづけていきます。
Posted by 新宿のはとサブレ at 2009年06月04日 23:18
>ちゃーさん

開国開国で「誰でも来いや」ってのは正直賛成できないんですが、こうやって他団体と交流して多くのプロレスファンに比較されるのって大事だと思いますよ

関東の大会では日々進化しているプロレスのエキスを他団体から吸収しつつ大阪プロレスのオリジナリティを根気よく伝えていくべきでしょうね

オリジナリティってトコでタイガースはキーマンだと思ってます

ユニークも間違いなく絶対絶対大事

シリアスは関東のファンって絶対目が肥えてると思うんですよ
だから実力だけじゃなくて選手の名前をどんどん売っていかなきゃですね

団体自体に独自性とスター性が無いと、他団体選手の人気だけでは最近の興行は会場埋まらないみたいですし

Posted by ラポン at 2009年06月05日 19:06
>新宿のはとサブレさん

失礼を承知で空気読んでないこと書いちゃってます...悪口になってなきゃいいんですが(汗)

あの日は試合を観ながら観客の反応を気にしちゃいました

関東のプロレスファンの皆さんが「また大阪プロレスが来る、絶対行かなきゃ」って思って欲しいですね
まずは後楽園ホールがどっちゃり埋まるくらいの人達に

みんなで応援して盛り上げていきましょう!
声援が多ければ多いほど選手は弾けやすいと思いますから!
Posted by ラポン at 2009年06月05日 19:15
ありがとうございます。
見に行けなかった者として、大変ありがたく読ませていただきました。
読んでて思ったのは、まだまだ書き足りないのでは?伝えたい事が、まだまだあるのではないでしょうか?勝手に思ってしまいましたが、そう感じてしまいました。
改めてプロレスって奥深いもんですね。
Posted by さぬきうどん at 2009年06月08日 11:06
>さぬきうどんさん

お返事遅れてスイマセンって毎度ですね(汗)

ケータイユーザー殺しの長文ぶり、読んでいただいてありがとうございますm(__)m

書き足りないこと...ありますね
自分の文章力が足りないのもあります

それに否定するものは真っ向から否定する方向で書けばストレートに伝わるものになるんでしょう

でもそれは当たっているようで違うんです

プロレスの場合どんな評価であれ選手が危険と隣り合わせで懸命に闘っているというフィルターを通して書かなければいけないと思うのでそれはダメなんです

それに歯がゆい部分ももちろんありましたが、大阪プロレスはキチンと悪いところを修正して次また自分達に素晴らしい試合を見せてくれると思ってるんで

プロレスの奥深さは自分なんかでは全て見通せませんしね
Posted by ラポン at 2009年06月13日 08:15
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
ブログのトップに戻る
pwrtitleb3.jpg

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。