2008年05月27日

世ハ戦国ナリ

あまりにも唐突すぎた。
5月17日のサタナイで秀吉の口から飛び出したのは大阪プロレス王座への挑戦宣言。
タッグではない、シングルである。
それが秀吉個人としての独断的な考えであったことは、すぐさま政宗が噛み付いたことからも判断がつく。
かくして突然起こったリング上の些細な口ゲンカは、あれよあれよという間に挑戦者決定戦まで発展してしまう。
固い信頼関係から結ばれた戦国の二人が、チャンピオンのタイガースを「コイツ」呼ばわりして踏みつけがらイガミ合う様はどこか滑稽でもあったが、とにかく1週間後の24日、彼らは2年ぶりに雌雄を決することとなった。

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奇妙なものである。
本来なら二人の闘いは大阪プロレスでもっとも実現性が低く、天王山トーナメントなどの強制力が働かない限りはあり得ないカード。実際、前回のシングル初対決は2006年天王山で行われいる。その頃の大阪プロレスHPでの試合結果寸評を見てみると、

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天王山2006 1回戦30分1本勝負
 ○秀吉 (21分31秒 雪崩式落城→片エビ固め) 政宗×
※黒のコスチュームの政宗に真っ赤なコスチュームの秀吉。パートナー同士正真正銘の初対決は緊張感あふれる出だしとなる。組みかかる政宗を吹き飛ばし珍しいドロップキックからペースを握るかと思われたが、政宗もコルバタからプランチャ式アームホイップで対抗。秀吉の遠慮のかけらもないキック、パンチ、スタンプが政宗の体力を奪っていくが、政宗も変則的な関節技、スタナー、DDTを繰り出す。一進一退の攻防が繰り広げられ、政宗の雷切、秀吉の落城が決まっても決着はつかない。死力を尽くしたファイトは秀吉の飛びつきフランケンから奥の手、雪崩式落城で決着。

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彼らは当時、普段の名コンビぶりなどドコ吹く風で、天王山優勝を目指して遠慮なき潰しあいを繰り広げた。
HPの写真には試合後に健闘を称え抱き合う二人が写っている。それでも揺るがないのが戦国の絆なのだろう。
以前は天王山優勝のため。今回は大阪ベルト挑戦のため。闘う舞台の重要性は大きく変わらないのだが今回はなぜか違った。プレミアムカードだと両手を挙げて喜べない何かがあったのだ。
それは変化を感じさせる雰囲気が、この日の大阪プロレス全体にあった事。
まずハッスルとの交流によるゼウスの欠場。ビッグイベントである「ハッスルマニア」の日程が重なったことにより、参戦していたKUSHIDAとともにサタナイにゼウスの姿はなかった。
通常なら全試合が発表されるHP上のカードも、戦国対決を含めた2試合だけに留まっていた。
その原因が分かっていても普段と違う状況は不気味さを覚えてしまう。
あらぬ想像が浮かぶ。予期せぬ乱入者、戦国の分裂、ユニット再編成。
沖縄プロレスの旗揚げによってポッカリ空いた選手の穴が、巨大なブラックホールのように選手達を吸い込んで散り散りにしてしまうのではないかという不安。
少数精鋭であるB&Gからのゼウスの他団体参戦と、ルード存在意義を問われる中での戦国対決という二つ局面が口火となって、混迷が広がるかもしれないという焦燥。
今までの当たり前のようにいた沖縄軍の面々がいなくなった。それに大改革という言葉が独り歩きしてしまって、何が起こっても不思議ではない感覚に陥ってしまったのだ。

大阪プロレスに対してコントロール宣言をした戦国タッグ。自らのコントロールが乱れてしまっては元も子もない。
まず行われた4試合。新人達の絡む試合は着実に進む改革。ユニーク軍の外敵を迎え撃つ新しい展開も改革であり革新。B&Gと小峠を取り巻く関係の変化も変革と言う名の改革。
戦国に訪れる何かを予感してしまう。メインまでが平坦であればあるほどその先に崖が待っているかもしれないという恐怖。
全てをはらんで二人は別々のコーナーに立った。

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特に気負うわけでもなく両者。
ゴングからやがてチョップ合戦。重い打撃で秀吉。揉み合った後、政宗は目を押さえて痛がるしぐさ。テッドレフェリーが即座にチェックするのを不安げに近づく秀吉。油断を見逃さない政宗はサミング!相手の機先を削ぐ政宗のウマさ。
速く細かく当てて秀吉の世界に合わせない政宗。しかし秀吉は政宗の蹴り足を受けると早くも重爆撃のドロップキックで政宗を吹っ飛ばす!
場外に逃れた政宗、秀吉が近づくたび入ろうとする体を返す。何度も繰り返されて焦れる秀吉。心理戦で流れを引き戻そうとする政宗の作戦。
しかしそれは逆効果となった。秀吉の溜まったフラストレーションは蹴り、チョップ、ラリアットとなって政宗に降り注ぐ。ダウンしようとコーナーに座り込もうと逃げ場はない。ただただ食らい続ける政宗。

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闘いは再び場外へ。ダメージを抱える政宗に「起きろ!」とばかりにペットボトルのミネラルウォーターを浴びせる秀吉。
連続して鉄柱攻撃を受ける政宗。ところが起き上がった手に一脚のパイプ椅子が。痛烈な一撃を受けてダウンする秀吉。その無防備な左足首にもパイプ椅子の一撃。叫び声を上げて悶絶する秀吉。続けざま椅子のカドで足首をグリグリえぐる政宗。無情な攻撃に観客の悲鳴。
ここから政宗の執拗な一極集中。足首に体を落とす、捻る、極める、どっしりと監獄固め。頭を抱えて激痛にもだえる秀吉。エプロンサイドに逃げれば場外から再び足首にドロップキック!

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完全に動きの止まった秀吉。逆に動きを速める政宗。しかし秀吉はそれを受けてパワースラムで逆転!それでも走りだす政宗にカウンターのスピアー!
秀吉は政宗を引きずり上げてペディグリー!リバースフルネルソン状態のまま持ち上げもう一発ペディグリー!離さない!再び3発目のペディグリー!
体全体を何度も叩きつけられ、倒れたままの政宗にお返しとばかりの珍しいアンクルホールドを極める秀吉。逃げようとするとフットスタンプで追撃してもう一度アンクルホールド!
政宗はその足を捻り返すとアンクルホールド。この切り返しの素早さ!足にダメージが累積している秀吉はたまらずエスケープ!
ロープ際で政宗はブーメランキック。しかし蹴り足を捕まえれば秀吉の射程距離、そのまま高く持ち上げて高角度のスパインバスター!
怒りの秀吉、休まず政宗のボディに巨体投下の3連続フットスタンプ!今度は政宗が腹部を押さえて悶絶!
秀吉の猛攻は続く。政宗を軽々持ち上げたままコーナーへ。コーナートップからのスパインバスターか!?
しかし留め金を掴んで踏ん張る政宗。自分のタイミングに持ち込んでそのままヘッドシザース!
流れを変えたくない秀吉、追いすがり政宗にヒジを落とすも逆に急所蹴りをまともに食らう!痛みにうずくまる秀吉。

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ここから両者は大技攻勢。政宗の連続雷切は2発目が不発。それならばのもう一発は秀吉が踏ん張ってムリヤリ振り払う!
自らロープへ走って突進の秀吉に政宗はカウンターのコンプリートショット!すかさずそこからアンクルホールド!執念に執念の足狙い!
バックに回ると政宗バックドロップホールド!投げた後の体勢が崩れると後ろに回ってもう一度!しかし秀吉はそれを肩口から投げ落とす!そのまま刀狩の体勢へ!
ここは崩れてダメージ深く両者ダウン!カウントが進む中立ち上がる二人!スタミナを振り絞って打撃戦!秀吉のチョップ政宗もチョップ!チョップ合戦!
根負けした政宗はロープに走って体を浴びせる。それを秀吉受け止め、持ち上げるとそのまま豪快な山折り!
先に立ち上がった秀吉は再び刀狩の体勢!強引に揺さぶって弱らす!回転エビ固めも振りほどく!再度引き起こしてこれでもかと首をクラッチして揺さぶる!
力が抜けてゆき崩れゆく政宗に、ついに覆いかぶさろうとする秀吉!しかし次の瞬間、政宗がを背負い気味に上げるとたちまち秀吉の天地が逆転!政宗、全体重をかけた決死のエビ固め!
そのまま大逆転3カウントで勝利!!

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予期せぬ突然の結末に呆然としていた秀吉だが、マイクを持って勝者の政宗を称える。前回と同じくイーブンに戻った二人。
秀吉の口からは政宗の挑戦サポート宣言。そして再度の大阪プロレスコントロール宣言。
政宗からも正々堂々ではなくベルトを「掠め取る」宣言だ。
戦国はいつどんな場面でも戦国。秀吉はどこまでも秀吉。政宗は憎らしいほどに政宗。
二人が作り上げた、いつもの自身を見せ付けあう好勝負。それはお互いが誇る部分を濃縮し、容赦なく全力を出し合う戦国のプライドを表現しての闘い。
彼らの強さは馴れ合いによるものではない。実力を確かめ合う用意は常にあったのだ。潰しあってさらに高まるチームの精度。痛みを知れば知るほど信頼を寄せるパートナーの強さ。
不安は現実のものとならなかった。現実となったのは大阪プロレスに脈々と流れ続け、改革とともに白日の下に現れた力強さ。
このまま突き抜けるか政宗。シングル戴冠、そしてタッグフェス優勝の流れは現時点での大阪プロレス完全制覇。
そして辿り着くか戦国。大阪プロレスタッグ選手権。かつての同志との運命の再戦。

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↑↑↑最後にメイン試合後のマイクを収録しています(PC限定)。
いちいち秀吉の言う事にリアクションしてる声はペン子です。
ウルセーって(笑)
mp3載せると大容量なので、予告なく掲載古い順から消すかもしれません。ヨロシクです。

しかしタイガースのキャラもある意味どんどん突き抜けてますねぇ。もうこれは新機軸のチャンピオンと言うしかないんでしょうか。

6月7日のタイトルマッチ行きたいんですが「でら名古屋プロレス」旗揚げ戦と被ってしまいました。
posted by ラポン at 23:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 大阪プロレス観戦記2008 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
想像力フル稼動で読ませてもらいました。
読み終えると試合を見た気分になれました、ありがとうございます。
秀吉さんは相手の技をコピー出来る優れた才能に恵まれていますね。もっと貪欲に強くなって欲しいものです、それにしても政宗さんのファイトスタイルは凄くって感服です。己の不利な体格差を頭脳と技術で埋めるカッコヨサ!なんか昔のライガー対ムタを思い出しました。あの時はライガー負けちゃったけど。
戦国のコントロールする大阪プロレスの近未来が楽しみになって来ました!
Posted by さぬきうどん at 2008年05月28日 19:37
>さぬきうどんさん

某団体の代表の方も秀吉のレスリング的なウマさを褒めてましたよ。どれだけパワー殺法を駆使しても相手を怪我させない安心感があるって言ってました。
それだけの実力と経験があるからこそ相手の技でもうまく使えるんでしょうね。

正直言っちゃうと政宗のタイトルマッチ挑戦って秀吉の挑戦以上に想像してなかったです。

でもタイガースとのシングルへの興味の延長戦上でのタイトルマッチって想像したら途端に面白く感じてきたんですよね。
あまりにも戦国としての政宗の立場で考え過ぎちゃってました。
タイガースの持つ未知数の粘りに対抗できるのは政宗のテクニカルな強さじゃないかなって思うんです。タイトルマッチは驚きのインサイドワーク連発で政宗のプロレスの真骨頂になるかもしれませんね。
挑戦こそ予想外の展開ですが、結果として政宗が大阪ベルトを獲ったら、それこそ戦国を中心に大阪プロレスは回るでしょう。
それに政宗の方が大阪ベルトをうまく使って面白いことしてくれそうな気がします。
やっぱり7日行きたかったなぁ。
Posted by ラポン at 2008年05月29日 12:19
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